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先月は「ぶどうのつぼみが膨らみました。」というご挨拶だったような。さて、今月はカリフォルニアから、「ぶどうの花が咲きました」という報告です。真っ白な可愛らしい花は、近づいて香りをかぐと、レモンと蜂蜜をミックスしたような甘い香りが漂います。 オークションの季節がスタートしたカリフォルニアからこんにちは! |
【目次】
1.ナパヴァレー・ワインオークション
2.コンスタント
3.タブラスクリークとシャトー・ド・ボーカステルの対決
日本がワールドカップで騒いでいたちょうどその週末。ナパ・ヴァレーでは恒例のチャリティワインオークションが開催されていました。登録費はカップルで2500ドル(約32万円)、3日間の隅から隅まで贅を尽くして繰り広げられるナパヴァレー・ワインオークション。どんなイベントだか、皆さんとても興味ありませんか。
今月は、ナパ・ヴァレーのワインオークションとはなんぞや、をじっくり味わっていただきましょう。
ワインオークションといってもさまざまな種類が準備されています。
●バレルオークション
●プライベートドーナー・オークション
●アートオークション
●ライブオークション
まず、バレルオークションです。これはナパ・ヴァレーのワイナリーにより協賛された新酒を樽から試飲して、ケース単位でオークションするもので、リリース(引き取り)は来年以降となります。
この写真は、プライベートリザーヴで有名なベリンジャーのワインメーカー、エド・スブラージャさんです。実は彼はつい最近、ベリンジャーを退職されました。しかし今でもコンサルティングとして、またこのワインを造ったワインメーカーとしてこのようにご本人から直接ワインの話が聞けるのです。
会場では、入札したい人が金額を木製の板に書き込みます。それが掲示板に載せられ、金額が上がると低いものからポトン、ポトンとバケツに落とされていきます。
プライベートドーナー・オークションは個人のコレクターが寄付したワインをオークションするものです。こちらはスクリーミング・イーグル、ドミナス、ハーラン、ダイヤモンドクリーク、ハイツ、コルジンなどなどと、まさにレアワイン、カルトワインのオンパレード。
アートオークションも同時進行で、オークショナーがいないので静かなムードではありますが、落札を狙っている人にとっては自分が値段を書き込んだ後に誰かが高い値段をつけないかと何度もチェックするそうです。
ちなみに、プライベート・オークションとバレルオークションの結果です。最高落札額のロットのみをご紹介します。
プライベートドーナー・オークションでは、スポッツウッドのカベルネ・ソーヴィニヨンで、1982年から1998年までのバーティカル(垂直)ヴィンテージ。お値段は8500ドル(約106万円)
バレルオークションでは、ピラーロックの2000年カベルネ・ソーヴィニヨンが10ケース66100ドル(約826万円)。
ピラーロックはオークヴィルのスクリーミングイーグルの隣に畑が隣接している、ニュースター。オーナーは、ナパ・ヴァレーのオークションではおなじみの大富豪です。
そして、メインは最終日のライブオークション。クリスティーズなどで活躍するオークショナー3人が入れ替わり立ち代りに威勢のよい掛け声で、トントンと価格は上がっていきます。
落札されると、こうやってお祝いの「サクラ」の人たちがシャンパンを片手に落札者の周囲に集まり、賑やかな喚声とともにチアーアップ!
今年のテーマはCirque du Vin。
そう、ワインのサーカス。初日の会場では、こんな風景も楽しめました。
140ほどもあるライブオークションのロットをご紹介するのは、とても大変ですが、その中でも最高落札額を記録したロットを紹介します。ちょっと、想像してみてください。
グロワーズとはワインの生産者という意味。つまり、オークヴィル地区にあるワイナリーがワインを持ち寄って出したロットです。中味は各ワイナリーからのマグナムが合計26本、ディナーが3回、ランチが8回、オークヴィル3泊、オークヴィルを空から眺める飛行機のツアーなど盛り沢山。オークヴィルのワイナリーの名前、いくつ知っていますか?
このロットには26ワイナリーが参加していますが、有名なところをリストしてみますね。
カーディナル、ダラ・ヴァレ、ファーニエンテ、グロス、ハーラン、オーパスワン、ロバートモンダヴィ、スクリーミングイーグル、スワンソン、ヴァインクリフ、パラダイム……。
これらが一挙にミックスされたロット。実はその落札額、32万ドル(約4000万円!)でした。
このように3日間をかけてさまざまなオークションが繰り広げられるわけですが、ナパ・ヴァレー・ワインオークションのすばらしいところは、なんといってもその収益金の95%がナパ・ヴァレーの医療機関や恵まれない人たちに還元されることです。その寄付により、ぶどう栽培に携わるメキシコ人労働者の住宅施設を建てたり、医療機関の充実、青少年の育成機関、非営利団体が円滑な活動を進めることができます。今年のオークション収益金額は6百万ドル(約7億5千万円)。
円に換算するのにも0の数をつい間違ってしまう、まったくパワフルなオークションです。
ナパ・ヴァレー・ワインオークションの一貫で、コンスタントというワイナリーを訪れてきました。普段は進入ご法度のワイナリーですが、オークション期間中だけは、一般の人たちにも門を開いてくれます。
ハーラン・エステートの建築を手がけたといわれるハワード・バッケンさんは、コンスタントの建物もデザインしました。百年以上も昔からあるオリーブ林を上手に活用し、自然の素材でシンプルにかつ豪華に仕上げた建物です。
コンスタント・ワイナリーは、1995年が初めてのヴィンテージとまだまだ歴史の浅いワイナリーですが、なんといってもそのユニークさは、ダイヤモンド・マウンテンの天辺に位置していることでしょう。
ダイヤモンド・マウンテンとは、ナパ・ヴァレーでもずっと北西にあるアぺレーションで、火山性の痩せた土壌から小粒な凝縮されたぶどうが生まれることで有名です。カベルネ・ソーヴィニヨンを中心としたボルドー品種は、100年以上も昔からその品質の高さで知られています。
この写真はコンスタントの一番低い場所にある畑ですが、1890年代に開墾された畑で今は、シャルドネとカベルネ・フランが植えられているそうです。
以前ご紹介した、 ダイヤモンドクリーク・ワイナリー を覚えていますか。
【サテライト・カリフォルニアVol.008】
「 ダイヤモンド・マウンテン 」
同じ敷地内にある3つの異なる土壌と地形から、まさにそれぞれのテロワールをワインに表現してくれるレアワインの生産者です。今回のワインオークションでも1978年から1992年にかけて9つのヴィンテージ、つまり9本がマグナムサイズで出され、30万ドル(約3750万円)で落札された、すっごーいコレクター・アイテムなんです。
さて、カリストガの街はずれから西側の山に向かって登るとダイヤモンド・マウンテン・ロードという狭い山道がクネクネと続きます。背の高いレッドウッド(カリフォルニア原産の赤い杉)が道なりに立っているので、30度の真夏日でもひんやりと涼しい、快適コース。
以前、ダイヤモンドクリークに伺ったときにも「ずいぶん高い山合いにあるんだな」と感動したのを覚えていますが、コンスタント・ワイナリーはそんなもんじゃありませんでした。耳の鼓膜がピーッと張り詰めるくらい山道を登りつめたダイヤモンド・マウンテンの、なんと頂上だったのです。
目の前に見えるのは、平地からは高い山だと思っていた標高1300mのセントヘレナ山。
オーナーのフレッド・コンスタントさんの敷地は、その1割がソノマ・カウンティ側にもはいるそうです。
ワインはすべてエステート、自社畑のぶどうのみを使っています。ぶどう畑は、すべて火山性の土壌。表土が浅く、鉄分を多く含んだ赤い土はこのあたりの特徴です。
ワイナリーの建物は昨年完成したばかりで、その時にこの土壌から掘り出した石で、ほら、カーブの入り口はこんな風に作られました。
コンスタントのワインメーカーは、フランス人のフィリプ・メルカさんです。ワインも彼のバックグラウンドと人柄を反映してか、とてもタンニンのこなれた、やさしいスタイルのボルドーブレンドでした。
このスタイリスティックなワインについて、フレッドさんに伺ったところ、
とおっしゃっていました。
こちらは、セントラルコーストのイベント。毎年恒例となったローヌ系ワイン集結のイヴェント、オスピス・ド・ローヌが5月末にパソロブレスで開催されました。
ローヌ系品種の人気上昇はさることながら、今年は特にワイン評論家のロバート・パーカー氏がこのイヴェントを高く推薦したということもあり、満員御礼の賑やかなイヴェントとなりました。もちろん、私も日本から帰った翌日、張り切ってパソロブレスまで向かいました。
今年のハイライトはなんと言っても、オーストラリアを代表するヘンシキの比較試飲。100年以上の老樹からエッセンスを「搾り出した」といっても過言ではないほど、滑らかで複雑、しかもチャーミングな品のよさを備えたシラーは、うっとりと魅惑の世界。
オスピス・ド・ローヌというイベントは毎年パソロブレスで開催されますが、パソロブレスの石灰質土壌に目をつけたシャトー・ド・ボーカステルのぺラン家とワイン商のロバート・ハスさんが、ここで タブラスクリーク というワイナリーを始めた話は、もうご存知ですよね。
【サテライト・カリフォルニアVol.004】
「カリフォルニア・ローヌ・ゾーン」
http://www.exwine.com/sate_california/04.html
【サテライト・カリフォルニアVol.009】
「ローヌ・レンジャーズ」
http://www.exwine.com/sate_california/09.html
【Paso Robles Vintners & Growers Association】
http://www.pasowine.com/
さて、試飲です。この日は、赤は1999年の対決、白は2000年のヴィンテージを比較試飲しました。
セパージュ:
ヴィオニエ 30%
マルサンヌ 30%
ブールブーラン 30%
クレレット 10%
明るい色合い。飛び出るような香り、特にヴィオニエの印象が強く感じられる。ハニーサックルや青リンゴ、そしてミネラル。甘みが多少感じられる。爽やか。
セパージュ:
ルーサンヌ 45%
ヴィオニエ 19%
マルサンヌ 19%
グルナッシュ・ブラン 17%
【私の感想】
ボーカステルと同じくらい輝きがあり、色はむしろ濃い目。かわいらしい花の感じ。ちょっと焼いたようなリンゴや洋ナシのニュアンス。ボディは豊かで味わいも複雑であるが、重たさは感じない。
セパージュ:
グルナッシュ 45%
ムールヴェードル 30%
クノワーズ 10%
シラー 8%
残りの7%はテレ・ノワール、ミュスカルダン、ヴァカレーゼなどのブレンド
【私の感想】
土や動物を感じる。鉄のようなミネラルにプラムやココア、ダークチョコレートのニュアンス。ボディがありしっかりと辛口のワイン。酸がしっかりしていて切れがよい。
セパージュ:
ムールヴェードル 40%
グルナッシュ 27%
シラー 23%
クノワーズ 10%
【私の感想】
濃い色合い。スペアミントやオリーヴのようなハーブ系の香りでボーカステルよりはるかに華やかな香り。味わいにはチョコレート、果実味が充分に感じられ、まろやか。
さて、この2社の対決。どちらがいいというレベルではなく、スタイルや好みの問題ですよね。弟分であるカリフォルニアのタブラスクリークでは、ボーカステルに出来るだけ近い醸造法で造るんだ、とワインメーカーのニール・コリンズさんは説明してくれました。
・オーガニック栽培で育ったぶどうを使用
・自然酵母による発酵
・新樽を使わず、果実、延いてはテロワールをそのまま表現する
・フィルターや清澄剤は一切使わない
と、とても自然派なんです。タブラス・クリークのぶどう木はまだ樹齢が若く、そのポテンシャルを充分に発揮していないわけですが、明らかに果実味の強さと色の濃さは、赤白に共通していえることでした。
ニールさんは、現在は、タブラス・クリークの畑で使えるものを最大限に活かし、将来的にはブールブーランやクラレットなども植えて、ブレンドに加えられるようにしたいと、あくまでもボーカステルのそっくりカリフォルニア版をめざされているようでした。
このオスピス・ド・ローヌでもオークションがありました。
こちらはナパ・ヴァレーとちがって「私でもパドル(札)が挙げられる!」という感じの親切価格。でも今年の最高落札額となったワインは、サンタバーバラの南、オハイという街で生産される超レアワイン、ほどんと入手不可能に近いといわれるシネ・クワ・ノンSine Qua Nonのローヌブレンド赤(シラーを主体にグルナッシュとムールベードルをブレンド)でした。
5ケースでお値段は15000ドル(約187万5千円)。コンピューター関係の仕事をしているという中国人の若い(リッチな)お兄さんが落としていきました。
「このワインどうするの?」という私の質問に、彼はひと言、「もちろん、飲むんだよ。友達とね!」
どうやら、日本には入ってきそうにはありませんね。
【あとがき】
今週末からニューヨークへ行ってきます。カリフォルニアのワイン生産者が、まずめざす都市はやはりニューヨーク。レストランでおいしいワインと食事も楽しみですが、9月11日以後のすばらしい復帰を果たしているアメリカンスピリッツを感じ取って来たいと思ってます。
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